詳 細

2015-01-01

【新年のご挨拶】新しい時代を迎える年に(傳@達第七期)

 元日の鐘とともに羊にちなんだ新年祝辞が中国の4億台を超えるスマートフォンの間で飛び交いました。よくデザインされた動画や画像とともに、「三羊(阳)开泰」、「喜气羊羊(洋洋)」、「羊(扬)蹄奋进」、「羊(阳)春白雪」、「羊(杨)柳依依」、「得意羊羊(洋洋)」、という吉祥、慶喜、奮進、高雅、思慕、満足等、良い一年になるよう互いに祈る懐かしきお正月の光景が溢れています。

 

2014年の注目すべき出来事は、来日中国人の増加が挙げられます。

 

観光庁の速報では去年11月までに中国からの訪日客は延べ220万人に達し前年同期より82.2%増になっています。

 

「近くて遠い国」と喩えられてきた両国関係は、人的な交流へと改善の気運が高まりつつあります。

 

さらに、2015年は日中交流史において新しい一ページが開かれる可能性は極めて大きいことがあります。

 

それは、訪中日本人と訪日中国人の数の逆転という歴史的な転換が起こるということです。

 

日本は2003年に「観光立国」の政策を打ち出して12年の歳月が流れ、政府から民間まで中国マーケットの開拓に多大な努力を積み重ね、政治や外交問題など紆余曲折はありましたがやっと日本に行こうという動きが広がりを見せ始めています。

 

今年は350万人、いや、ビザの蛇口さえ捻れば400万人突破も目前です。

 

一方、「黄河の水 天上より來たる」(李白)の如く、海外へと奔流する中国人は規模拡大一方でとどまる様子はありません。去年はすでに1.16億人が大陸を出ました。日本国土面積1/4の韓国には約600万人、1/10の台湾には300万人超。今年の2015年は延べ1.3億人とも1.5億人とも予測されています。

 

日中は大交流の時代を迎えようとしているのです。

 

 

ただ、これに伴い、心配事もあります。

 

この未曾有の転換にしっかり対応できる準備ができているかです。

 

仕事の関係で去年経験した幾つかの事例から心配せざるを得ない兆しも見え隠れしているからです。

 

一つは、ある世界遺産の見学に行ったときに実感したサービスの低下です。5人乗りの普通乗用車。入山料は世界遺産になる前より四五倍も跳ね上がっていました。所要時間は増え対応も不親切に感じました。

 

駐車場の入り口では問答すらさせてくれず急かされるのはあまりいい気分ではありません。特に問題なのは、肝心な山頂天候の掲示がなかったことです。駐車場からバスの切符売り場に行く途中、タクシーの運転手にしつこく乗るように止められるのも困りました。

 

バスの切符売り場でも山頂情報の分かる表示がなく、聞かないと教えてくれませんでした。山頂は見えないことが分かったので一旦購入した切符を払い戻してもらいましたが、10分間も駐車していないのに駐車料金が返ってこない。

 

同行の中国客は「ここはほんとうに日本ですか」と一連の拝金主義的なことに唖然していました。こうした光景は少し前の日本には見られなかったからです。

 

もう一つは中国の記者団を連れて北海道取材に行ったときのことです。

 

あるホテルで感じたのは、伝統や日本らしさの衰退です。

 

北海道は小社にとってゆかり深い大地です。会社設立と同時に中国メディアPRプロジェクトの依頼があり、北海道テレビ(HTB)と協力して一度の取材でウェブメディア、新聞及びテレビ番組放送を完結したワンソースマルチユースのPR手法を開発、実践した最初の地です。

 

以来、この手法を応用して次第に日本全国殆どの地方(四国だけ除いて)にPRを展開した経緯からすれば、北海道は言わば小社の原点にもなっています。

 

その北海道を昨年7月に取材した際には以前スポンサーになってくれたホテルに恩返しの気持があり記者たちを泊めました。

 

しかし、記者たちには満足できるホテルとはなりませんでした。10年前の取材ではホテル側は部屋での食事を積極的に中国に売り込もうとしていたのですが、いまはバイキング方式に変わっていました。

 

レストランでは大勢の中国観光客が列を作り惣菜を取り、大変な賑わいで騒然としていました。これだけ大変な盛況ぶりを見ると誘客としては成功と言えるかもしれませんが、外客取り込みの成功はこのような方向に向いているのには疑問を抱かざるを得ませんでしたし、心中は複雑でした。

 

解決してほしい問題はもう一つ、新たな観光ルートの開拓を挙げなければなりません。

 

「ゴールデンルート」沿線に中国メディアの記者たちを連れて回りましたが、どこにいても中国人ばかり、中国語ばかりと、観光地の中国内陸化の恐れがすでに出始め、不満も聞こえるようになりました。

 

日本に「おもてなし」という素晴らしき言葉があります。日本文化に根付く相手を思いやる心とそれにそった行動を端的にあらわす、たった五文字には、温かで真心のこもった笑顔や信頼感あふれる立ち居振る舞いや、心と心が通い合う様が日本の風情だと受けとめてきました。

 

この柔らかな短い言葉は、日本らしい風情と誇れる文化を想起させます。

 

しかし、この言葉の瑞々しい温かさが失われはじめている事を感じないわけにはいきません。

 

「おもてなし」と観光マネジメント・イノベーションを積極的に考え直す時にきているのではないでしょうか。

 

新しい年に新しい時代がやってきます。

 

新たに取り組むべき課題が多くありますが、それは新たな希望につなぐ道筋でもあります。日本と中国、そして両国の民間が協力し合い、新たな取り組みに向けてわくわくしながらともにチャレンジして参りたいと考えています。

 

こうしたダイナミックでエキサイティングな時代に立ち会い、参加できる私たちは本当に幸せだと感じております。