詳 細

2013-03-23

通信社、新聞社の中国語サイトに助言

 

 先日、小社の孫盛林、可越がある大手新聞社の中国語サイト管理層と会合し、中国語サイトのあり方と運営に助言しました。
 
 孫は前職で中国マスメディアの最初の日本語ニュースサイトを創立、運営した経歴から、東京に集中している日本の通信社、新聞社の中国語サイトの殆どと公私とも付き合いがあり、開設、運営に関する相談をしてきました。日本の中国語サイトについて、今日ディスカッションした内容を、ここで一般論として三点にまとめてみました。
 
1、中文サイトのポジション
 
読者が国外にいるサイト運営の難しさは、何といってもその距離にあります。内容からすれば自分と密接な関係がないため、読んでも良いが読まなくても大丈夫、いわゆる読む必然性がないことです。従って、運営する側として、アクセス率はなかなか上がらないことに時々焦ってしまいます。
 
この時、一度原点に立ち返ってみるのも良いかもしれません。そもそも海外発の中文サイトは中国社会においてマス・ディアになるはずはなく、日本に関心を持つ一部読者のメディアだと心得る必要があります。ファーストフードと思われるインターネットの世界は、地道な努力が意外と読者の心をつかんだりします。中期ないし長期的な観点で計画を立て、少しずつですが安定的なアクセス増をはかるのが良い方法です。
 
2、サーバー設置場所
 
経営のプレッシャーから、読まれたいがために中国当局や読者にタブー視されていることをあえて報道したり、中国国内問題の報道に集中したり、という傾向が一部見られます。この時に、報道機関としての本来の自社のイメージ、言い換えれば読者の持つ期待を離れはしていないか、日本情報の発信というサイト設立当初の目的を離れていないか等、時々点検することも大事でしょう。
 
そして、中国の管理機関との関係上、サーバーの設置場所は日本にするか、中国にするか、あるいは第三国・地域のシンガポールか香港にするか、とよく聞かれますが、設置の場所はそれほど決定的な違いがなく、そうした技術論よりも内容、編集方針の方が最も重要だと考えます。
 
3、メディアとしてのクオリティ
 
日本からの中文発信は、日本語の文章を中国語に置き換える作業からスタートします。翻訳というと一見簡単そうですが、実は高度の文章力と編集の専門知識が必須です。通信社・新聞社のサイトに限った問題ではなく、広告代理店、PR会社にもよく見られる現状として、中国語の各種文体を自由にこなせる人材が少なく、チームワークもなかなか形成できていません。個々人の作業で終える場合が殆どで、読者の目に触れた時、文章のクオリティにばらつきが目立ち、メディアとしての統一感、信頼感が損なわたりします。
 
小社のクライアントで、ある大手家電量販店の中国マーケットブランディング担当重役の一例ですが、中文サイトをもつ通信社のインタビューを受けました。三回の連載という長文で発表された後に、小社がそれを中国社会に紹介しようとする時、再度編集し直さなければならないと分かりました。対極にある二つの問題が存在します。一つは内容が細かすぎ。日本語に詳しい中国読者でないと読みづらく、なぜこのような文章を書くか不思議に思われます。もう一つは大変文字数の多い文章のわりには背景の紹介が足りないので、内容的に理解しづらい箇所が散在しました。
 
もう一例、ある新聞社の中文サイトの話ですが、トップページ記事のタイトルの半分ほど、中国のメディア基準で見た場合、何らかの手直しを施した方が良いと驚き、サイトの責任者に告げたことがあります。
 
マスメディア及び政府機関、国際的著名会社の広報に対しては、社会的な期待が高いと思われます。中文サイトを設置したからには読者の期待に応えるべく、上から下への技術指導、チームワークの強化、文章クオリティを保つための教育、こういった体制作りを急ぐべきではないでしょうか。時間のかかる辛抱強い作業ですが、早く取り組む方が、多くある中文サイトの中からいち早く中国語の読者に評価されるだけでなく、日本の中国語翻訳、対中プロモーションのクオリティの底上げにも大きく貢献するでしょう。