映像作品「『海を越えた挑戦3-ヤンヤンの花道」台本全文
2007-07-25

「海を越えた挑戦3-ヤンヤンの花道」 可 越


N:東京の下町千駄木、ここに私の友達ヤンヤンが経営する花屋さんがある。
ゴールデンウィークに私は彼女を訪ねた。

こんにちは
はーい いらっしゃいませ
いきなり!?
いきなり
今日お客さんどう?

暇なの?
なんで?
なんで?
今日お祭りだから?
でもお祭りだから人が来るんじゃないの?
見るだけですね。
花はもつんですか?
もたないよ。
どうするんですか?
処理するしかない。
生花だから。
ゴールデンウィークめちゃくちゃ忙しいと思ってたけど、そうでもないんだ。
そうでもない、商売そんなにうまくない。

 

N:彼女は私が日本に来て初めてできた友達だった。
N:同じ中国の東北出身なので、日本語学校で勉強していた私たちはすぐに打ち解けた。
ヤンヤンは日本語を全くしゃべれなかった。
互いに仕送りは全くなく、つらい日々をともに過ごした。

 

N:私たちは12年ぶりに一緒に通っていた日本語学校を訪ねた。

 

ここ?
そこまでいかない、ここだと思うよ。
ここだったということで。
12年前に通った日本語学校があったと思われる場所(字幕)
それすらも覚えていないくらい久しぶりなんですよね。
そう覚えてないくらい久しぶりなんです。
写真とってあげる。

もう食べ過ぎちゃって。この物あったら、あー。

 

N:一食分の焼きそばを三回に分けて、毎日同じやきそば弁当をもってくるのが
とても印象に残っている。

 

具がないよ。
野菜高いじゃん。
アルバイト募集
お金にこまったヤンヤンは日本語もできないのにアルバイトを捜していた。
すみません、アルバイトの言葉なんですか?
で、アルバイトってちゃんと書いても
「アルバイト募集してますか」の募集が発音できない。
「いらっしゃいませ」できない。
きれいにできないから。

 

「ありがとう」も「ありが・・」ロール回らないぐらいだね。
そのラーメンやさんはもうないのかな?
見に行く?
ラーメンやさんまだあるかな。
きっとあると思うよ。
支那そば

 

あってるよ。
全然あってる。
でも男性の方だから、もういないよ。
入ってみて。
いやだ。
だから恥ずかしくて、ラーメン出されたとき、
「ううん、いらない」っていったことあるよ。
なんで?
私、人の前でご飯食べれなかった。
家族としかご飯食べれない人だったから。
本当?
本当。
うちはお父さんが外食好きな人じゃなかったから、
家族としかご飯食べなかった。
友達と外食させたことがない。
箱入り娘とかいう。

 

N:そんな箱入り娘だった彼女は日本語学校を9ヶ月間で卒業して、
保険会社に就職した。
仕事はうまくいかず、8年の間にいくつかの職を転々とした。
その後大好きなフラワーアレンジメントを勉強し始めたと教えてくれた。

 

それで自分がやったことのないことを探して、専門にしようと思った。
で、花を勉強しはじめた。
そして、花を勉強したらはじめて分かったんだけど、自分の性格は大自然に合うことに気づいた。
私は花が好き、自然が好きな人なんだと気づいたの。

 


N:彼女は下町に小さな花やを開いた。

 

いらっしゃいませ

 

N:しかし、彼女の夢はまだ終わっていない。

 

こういう仕事好き?
好き。花好きでしょ。仕事好きじゃない。花が好き。
自分が触っている花が作品としてできたのが好き。
気持ちが伝わるから。

 

なんで花屋をやろうとしたっけ?
別に花屋をやりたいわけじゃなくて、私の目的はアーティストよ。
私の目的はアーティストよ、なんで花屋になったの。
そうよ。なんで?
生活のためさ。
じゃ、最初にアーティストになりたかったんだ。
そうよ。でも、アーティストになるためプロセスが必要で、業績がないとアーティストにはなれない。でしょう。なんか自分で。現場で。
現場を経験しないとアーティストにはなれません。

 

いまは全然めちゃくちゃ
さっき日本で人の10倍以上努力したって。

 

まあしょうがないですね、異国の生活だし。
認めてもらうために、普通できないことを努力してやらないと信じてくれないじゃない。

 

N:アーティストを目指す彼女の一日を追った。

 

おはようございます。
早いね。
今日はお店の定休日。
新しくオープンしたお店のフラワーアレンジメントの仕事の依頼が入った。
三軒あるんですよ。
このへんに?
一駅違うんだけど。
一番ヤンヤンさんの店が新しいんですか?
そう、ヤンヤンの店が一番新しい。
みんな古いんですよ、夫婦がやったり。
あとは従業員いっぱいいるのね。
うちは、一匹狼。

 

丸の内 新丸ビル

 

おはようございます。

 

N:彼女の生け花の感性は果たして日本人に合うのか?
ちょっと寂しい気がする。まだライトがついてないからわからないけど。
あとはつぼみがまだ咲いていないから。
つぼみが咲いたら、つつじと一緒。つぼみが咲いたらもっときれいになる。
それでコントラスト、なんだっけ?コントラス
ツツジがあまりにもよかったからね。
でもこれはもう、私いいと思ってます。
わかりました。

 

一回いくらとか、予算があるんですよ。
予算が応じないと。

 

あっ向こう早い。
すみません。
あとどれぐらいで行かないといけないんですか?
もう遅刻?
もう遅刻ですね。私次の次がまたあるから。
夜もまた次あるから、今日一日もう。
今日唯一の休みなのに
今日唯一の休みなのに。いつもそんな感じなんですよ。

 

ちなみにさっきのお花のテーマはなんだったんですか?
五月の季節の花。
五月が梅雨にはいると寂しげになるですよね。
5月に咲いている花はみな寂しげ、でも美しさがあるよね。
かわいいね。

 

良いこ、良いこちゃん
この会社、強いもの。
だから強い物をいれる。
アンスリウムとか。
あと明るいですよね。
受付に飾ったら、
お客さんはこの会社、清潔感あるというイメージをもつ。

 

N:日本で初めてであった中国人のヤンヤン。
12年間私たちはそれぞれの道を歩んできた。

 

将来の夢は?
もちろんアーティスト。アーティストになることですね。

 


統括 可 越
編集 国本隆史
協力 オブチカズオ
著作権 東京視点